十三回忌
2009-04-11


禺画像]
旧い友達の十三回忌に出席してきた。
 
彼とは、小学生の頃に知り合った。
僕が余所から転校してきて、最初に友達になってくれたのが彼だった。
 
すぐに意気投合して、ずいぶん良く遊んだ。
彼は漫画が得意で、僕も教えてもらって一緒に描いた。
しかし、中学の後半に入ってから疎遠になり、
高校に入ってからは全く会わなくなってしまった。
別に特別な話じゃない。誰にでも思い当たる節が一つや二つはあると思う。
そういうものなんだ、たぶん。
子供の頃の友達って、後ろ暗い記憶を共有しているせいか、
妙に鬱陶しくなることがある。
 
僕らが再びつるむようになったのは、
同窓会がきっかけだった。
お互い、バイクに乗っていることで話が合った。
 
僕はその時既に社会人だったし、
彼は一度入学した大学を編入して、美大で造形を学んでいたから、
それほど頻繁に会っていた訳ではない。
今思い返すと、それで良かったと思う。
僕らは似ているところも沢山あったけれど、
嗜好の向きは全く違っていて、互いにむかつくこともかなりあったからだ。
 
十代の頃、鬱陶しかった関係が、昔の仲間に戻った感じだった。
僕らはすごく打ち解けて話すことができた。
僕らは心おきなく喧嘩することができた。
 
やがて僕がそんな感じを共有できる相手は、ほとんど彼一人になっていた。
 
禺画像]
 
彼は刀乗りだった。
刀に乗っている時に不慮の事故で亡くなった。
 
彼の死をきっかけに、僕はバイクへの興味を失った。
走ることは既に愉しくなくなっていた。
正直、バイクはもういいと思った。
でも、何かが引っ掛かって僕にバイクを降りることを躊躇わせた。
 
もし逆に僕がバイクで死んで、
奴がバイクを降りたとしたら、どうだろう。
 
 
僕はそんなの嫌だ。絶対にだ。
 
 
シラけた自分を誤魔化すために、僕は彼と同じバイクに乗ることにした。
我ながらウエットで情けない理由だと思う。
人生に「たられば」はないが、彼が生きていたら、
僕のバイクライフは今とずいぶん違うものになっていた筈だ。
まさか僕が刀乗りになるなんて。
それも10年以上も乗り続けることになるなんてね。
 
彼が「葱、結構ヤルジャン」と言ってくれるような、
そんな刀乗りに、僕はいつかなりたくて走っている。
 
そんな日が来るかなんてわからないし、
ずっと来ないのかもしれないけれど。
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