さよなら、ぱしゃ。
2010-07-29


飼っていたミニチュアダックスのぱしゃが死んだ。
老衰だった。

インターネットでペットの埋葬をしてくれる業者を捜し、火葬して貰った。
棺には大好きだったビーフジャーキーとユリの花を入れた。
お骨は霊園の納骨堂に49日まで保管され、その後、合同墓地に埋葬される。
納骨堂から立ち去るとき、パソコンでプリントアウトした遺影の目が僕を見つめていた。
彼が生きていたときと同じ目で。

土砂降りの雨の中、僕は一人クルマのアクセルを踏む。
自分の手際の良さに気が滅入る。


禺画像]


家に帰ると、そこにいるはずのものはもういない。

室内に湿った柔らかな獣の匂いが佇んでいる。
こまめに消臭スプレーを吹いても、生命の残り香はすぐには消えない。

使っていたご飯の容器。
水を与えるための介護用スポイト。
ベッドや布団やバスタオル。室内でおしっこをさせるときに敷くシート。
自力で歩いたり、ご飯を食べられなくなってからも、
いつか食べてくれるかもしれないと買い置きしていたビーフジャーキー。
ぜんぶそのままそこにある。


禺画像]


散歩に連れて行くから、早く帰らなくちゃとか、
寂しがらないように、部屋の灯りをぜんぶ消さないようにしておかなきゃとか、
一日中、クーラーを効かせたままにしておいたり、
でかけるとき、水がきちんとあるか確認したり、
そろそろご飯の時間かなとか、
毎月、腰の治療のためにどうぶつ病院に連れて行ったり、

そして、朝起きたら、家族より先にぱしゃにおはようって言う。


自然に気にかけていたひとつひとつの義務から解放されていることに戸惑う。
でも、そんなのちっとも大変じゃなかったんだ。


きみがいてくれて嬉しかった。今までずっと、ありがとう。ぱしゃ。

[Diary[日記]]

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